塩水浴について

当方の塩水浴の方法と、淡水魚の塩水浴についての考察を記載します。
実際に塩水浴を行うにあたっては、飼育者の判断と責任において実施して下さい。
本当に塩水浴で良いのか?
本水槽から隔離すべきか?
塩水浴の方法
本水槽への戻し方
塩の種類と濃度と期間

本当に塩水浴で良いのか?
ある程度、病気の原因が特定できている場合は、素直に、魚病薬による薬浴を行った方が良いと考えます。と言うのは、確かに、塩水浴によって弱った魚が元気を取り戻す効果を実感しておりますが、既に発病してしまった症状に対しては、治癒するまでに時間が掛かり過ぎると感じております。また、治癒に時間が掛る為に、他の病気を併発する可能性があります。細菌性の病気で、その傾向を強く感じます。
当方が塩水浴を行うのは、以下の場合です。

  • 新しく購入した観賞魚のトリートメントを行う場合。
  • 明らかに、具合が悪そうだが、原因が特定できない場合。
  • ナマズの仲間等の魚病薬が使えない魚種が病気に掛った場合。
  • 病状に適した魚病薬が手元にない場合。

本水槽から隔離すべきか?
隔離すべきと考えます。
塩水浴中に病状が悪化し、魚病薬の投与が必要になる可能性や、塩水浴のみの場合でも、本水槽と隔離水槽では使う塩の量がかなり違ってくると思われます。
一般に、塩水浴は0.5%以上の濃度で行います。1Lあたり、5gの塩を投入しますが、一般的な60cm水槽だと塩300gを投入する事になります。なお、塩水浴中も水換えは行いますので、その都度、追加する事になります。また、水草を栽培しているならば、塩は水草を枯らします。
全ての飼育魚に対して、塩水浴を行う場合、水草の方を隔離すればよさそうですが、一度、根の張った水草を抜くという行為は、水草にもダメージを与えますし、底砂の巻き上げで、細菌をばら撒く事になりかねません。
ですが、水槽をリセットし、再度立ち上げるつもりならば、この限りではありません。

塩水浴の方法
塩水浴のやり方を記述します。0.5%濃度の塩水浴手順は以下の通りです。

  • 隔離用プラケースに本水槽の飼育水を1.5Lいれ、エアーポンプ等でエアレーションを行います。
  • 対象となる飼育魚をプラケースに移します。この時、極力、網は使わず、柄杓(ひしゃく)や、掬い桶等で飼育魚と水を一緒に掬い上げます。
  • よく洗った、500mlのペットボトルに塩10gを入れ、水500mlを加え、よく振ります。
  • 500mlの塩水を30分に1回、4分の1づつ、プラケースに入れていきます。(塩水投入中に、飼育魚の様子がおかしくなった場合は即中止します。)

最初の水に飼育水を利用しているのは、急激な水質及び、水温変化を避ける為です。新たに、500mlの水を加えるので、4分の1水換えと同等になります。また、塩も一気に入れてしまうと、急激にアルカリ性に傾いてしまうので、500mlペットボトルで溶かしておいて、少しづつ入れます。
塩水浴中、以下の事に注意します。

  • 餌は極力与えない。
    数日(金魚に至っては数週間)餌を与えなくても餓死する事はありませんが、隔離前から絶食状態なのか等で変わってきます。食べれるようなら与えても良いが、ごく少量とし、残り餌は除去する。
  • 2日から3日に一度水換えをする。
    濾過が回っていない場合、アンモニアや亜硝酸が蓄積する事でも、飼育魚が弱るので、少量を頻繁に水換えする。この時、空の500mlペットボトルで、隔離プラケースから水を抜き、抜いた分の水と塩(水500ml、塩2.5g)を少しづつ加える。

本水槽への戻し方
水質ショックを避ける為、水合わせを行い本水槽に戻します。

  • 隔離プラケースから、水を抜く。(飼育魚が泳げる程度、水を残しておく)
  • 本水槽の水を隔離プラケースに少しづつ入れていく。(この時、点滴方式で行うと手軽です。)
  • 隔離プラケースが一杯になれば、水質は、ほぼ等しいと思われるので、飼育魚を本水槽に移す。

塩の種類と濃度と期間
種類に関しては、一般に売られている、食塩、粗塩で問題ありませんが、極力、塩化ナトリウムの純度が高い物が良いと思われます。味塩は論外ですが、粗塩でも、にがりや、ミネラル分が含まれる物がある為、少なからず水質に影響します。個人的には低濃度塩水浴では、浸透圧によって飼育魚自体の耐性を上げる事を目的としていると理解していますので、精製塩で十分と思われます。
1.0%を超える高濃度では、飼育魚自体にダメージを与える為、普通に飼育しているだけの方は行わない方がよいでしょう。高濃度塩水浴の場合、極短期間(数分とかのレベル)で行わなければならず、経験と判断力が問われます。逆にあまりに低濃度だと効果は期待できないと思われます。元々0.5%程度の塩水では、殺菌力は無いようです。
単に魚体に対する浸透圧を調整する事で、魚自身の耐性を上げようと言うのが目的ですから、あまりに低濃度では意味を為さないと思われます。
期間については、治るまでが基本ですが、たとえ低濃度塩水浴でも長引けば魚体に影響します。
途中、病気が特定でき、薬浴に切り替える場合は、塩水浴中の隔離ケースに直接投薬してはいけません。ニューグリーンFやグリーンFリキッド等は、メチレンブルーと塩の混合物で、それ自体に塩を多く含んでいます。ですので、塩水浴中の水槽に直接添加した場合、規定量の使用でも、塩分濃度の把握が難しくなります。



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